楽音堂のジャズ&古本日記

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市井の作家、木山捷平の世界。

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木山 捷平(1904年3月26日 - 1968年8月23日)は、私小説的な短編小説やエッセイを得意とした。作家として目立たない存在であるが、庶民性に徹した飄逸と洒脱な表現で没後も根強い愛読者を持つ。古書界では、今でも人気があり、特に旺文社文庫は、現在かなりの品薄です。

耳学問・尋三の春(旺文社文庫) 1977年初版 耳学問、尋三の春、うけとり、子におくる手紙、一昔、出石城崎、抑制の日、氏神さま、山ぐみ、幸福、春雨、玉川上水、竹の花筒

■茶の木・去年今年(旺文社文庫) 1977年初版 廻転窓、苦いお茶、市外、豆と女房、川風、茶の木、弁当、月桂樹、去年今年、釘

長春五馬路(旺文社文庫) 1978年初版 木山捷平最後の傑作中篇小説。想像を絶する圧倒的現実を形象化した木山文学の真骨頂。 飄々として掴みどころなく生きながら、深い悲しみも恨みもすべて日常の底に沈めて、さりげなく悠然と生きる主人公は木山捷平その人である。

■大陸の細道(旺文社文庫)1977年初版 昭和19年、いわゆる“三文文士”の木川正介は、永く喘息と神経痛とを患っており、招集も受けずにくすぶっていた。そこへ、某開発公社の嘱託の話が舞い込んできて、厳寒の満州に赴くことになった。戦争に対しても、上官に対してもシニカルに見る姿勢を保ちつつ、現地の人々との交流など満州での日常を、生々しくユーモラスに描いた傑作長編小説。 https://item.mercari.com/jp/m62089514321

リアル・ディール/ デイヴィッド・マレイ/ミルフォード・グレイヴス

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孤高のドラマー、ミルフォードとパワフル・テナー、マレイの気合溢れる真剣勝負。ミルフォード・グレイヴスとマレイのデュオという企画自体がすばらしいが、グレイヴスという大先達の存在感、迫力、方法論その他もろもろがマレイから最高の緊張感を引きだしたとしか思えない。もともとマレイはドラム~パーカッションとのデュオで燃える男であり、クリエイティヴになるし、イマジネーションを発揮する。この作品はその極北であろう。説明不要の問答無用のかっこよさなのだ。バスクラを使った演奏がとくに説得力があるが、テナーももちろんいい。異物というか鬼子というか、突然変異のようにそそり立っている傑作だと思います。多くのひとに聴かれることを願います。

■メンバー David Murray(ts, bcl) Milford Graves(ds, per)

■収録曲 1. ステイテッド・ウィズ・ピース 2. ザ・サード・デイ 3. ルクソール 4. アンダー・アンド・オーヴァー 5. ムーヴィング・アバウト 6. アルティメイト・ハイ・プリースト 7. エッセンシャル・ソウル 8. コンティニュイティ https://item.mercari.com/jp/m97799456942

幻のジャズピアニス/Lowell Davidson

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オーネット・コールマンの紹介によりデビューしたピアニスト。ノー・オーディションで作品を吹き込ませるESPも凄いが、それに相対すデヴィッドソンはもっと凄い。ゲイリー・ピーコック、ミルフォード・グレイヴスとのトリオで放たれる音は力強くも美しく色褪せない。


冒頭の「“L”」から、もがき苦しむようなピアノの音に包まれます。リズムは断続的で、つまづきながらも前に進もうとする意志が感じられる曲。
続く「Stately 1」は、Paul Bleyを思わせる曲調。リズムのつまづき加減は変わりませんが、導入部では、なかなかリリカルなピアノを聴くことが出来ます。演奏は徐々に熱気を帯び、ピアノの音も跳ね上がってきます。10分以上の作品ですが、ハラハラとした感覚がどこまでも続き、冗漫な印象は受けません。
3曲目「Dunce」は、ドラムスが先導し、ピアノ、ベースを煽り立てるので、割と前進感がある曲。「Ad Hoc」は、繰り返されるテーマが次第に拡散し、ピアノがひっきりなしに何らかのパッセージを。そこに、 Peacockのベースが別方向から切り込んできます。次の瞬間、珍しくピアノは停止し、思索的なベースソロ、Gravesのドラムソロへと展開していきます。Gravesのドラムスは、ドタバタながらも、もたつかず、不安定なパルスを果てしなく供給。12分以上という長さを感じさせない、緊迫感に満ちた曲に仕上がっています。
ラスト「Strong Tears」は、自由な展開の中で、ある種の美しさを追及しようとする3人の姿勢を感じる曲。


本作は時代と格闘し、突破口を見出そうともがきながら、ある方向への昇華を果たしたミュージシャンたちの戦いの記録である。尚、Davidsonは、49歳の若さで病死し、正式な録音はこの作品のみ。

■メンバー
LOWELL DAVIDSON(p)
GARY PEACOCK(b)
MILFORD GRAVES(ds)
■収録曲
1."L"
2.STATELEY
3.DUNCE
4.AD HOC
5.STRONG TEARS

Lowell Davidson Trio

https://item.mercari.com/jp/m77604257732 

 

初台にあった伝説のジャズハウス・騒(GAYA)

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騒があった場所は、自転車で新宿に行くときよく通る。オペラシティの手前だ。晩年の阿部薫が命を削って演奏した場所。仕事帰りで夜遅い時などは、夜空から阿部薫のアルトやハーモニカの音が聴こえてきそうだ。 オーナーの騒恵美子さんは、20代後半に長野県伊那で近藤等則梅津和時、土取利行らの衝撃的な音と出会いフリージャズに開眼、自分が聴きたい一心でライヴハウスを開店する。 1977~1984年の7年間、様々な音楽性の演奏家を出演させ、聴く側をフリーにしてくれるジャンルではない「フリー」を求め続けた。 2011年10月20日、癌のため逝去。

🎞TV番組で阿部薫を語る騒恵美子さん。https://youtu.be/dJILVx09lJg

🎷WINTER1972 https://item.mercari.com/jp/m48716868797 

#阿部薫 #フリージャズ

阿部薫/暗い日曜日

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1971年の東北ツアーは、阿部薫の異彩に着目した故・小野好恵(後に「ユリイカ」「カイエ」編集長)により企画・制作・録音されたもの。阿部薫高柳昌行との共同作業を終えた頃で、傑作として名高い『彗星パルティータ』が録音された73年の直前の過渡期といえる時代だ。

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1949年生まれの阿部薫は、この時、22歳。正に絶頂期の演奏である。 本盤は、岩手県一関・ジャズ喫茶ベイシーで収録。阿部薫のライブ音源はたくさんリリースされているけれど、その中でも特にメロディアスな作品。70年代後期の落ち着いた演奏も素敵だが、この時期の演奏は勢いを感じるし、フリージャズに活気があった時代感を味わえる。阿部薫といえばアルトだが、バスクラの音色も深みがあっていい。 1. アカシアの雨がやむとき 2. アルト・ソロ・インプロヴィゼーション 3. バス・クラ・ソロ・インプロヴィゼーション 4. 暗い日曜日   (録音) 1971年12月6日 一関ベイシーにてライヴ録音

阿部薫暗い日曜日(紙ジャケット仕様) https://item.mercari.com/jp/m92474266466

マイルス・デイビス/ブラック・ビューティー

1970年6月17日~20日にロックの殿堂「フィルモア・イースト」で連続4日間行われた伝説のライヴ音源の公式盤である。

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■パーソネル Steve Grossman – tenor and soprano sax, flute Chick CoreaFender Rhodes electric piano Keith JarrettFender Contempo Organ Dave Holland – acoustic and electric bass Jack DeJohnette – drums Airto Moreira – percussion, cuica

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後になるとトランペットを吹かずにオルガンでメンバーに指示することが多くなるマイルスだが、ここでは前面にたってバンドをリードする。そのソロは火が噴くように熱い。エレクトリック・ピアノチック・コリアに加え、オルガン奏者としてキース・ジャレットを参加させ、ツイン・キーボード体制で臨んでいる。エレピ対オルガンといっても、ハードに歪みまくった過激な音色同士お互い激しくぶつかり合う壮絶な闘い。 チック・コリアの変幻自在なリード・キーボードに対して、キース・ジャレットがワウも加えたファンキーなリズムでグルーヴを増幅させる。取り憑かれたように執拗に刻み続けるキースのリズムが凄い。 サックスにはスティーヴ・グロスマン、ベースにデイヴ・ホランド、ドラムはジャック・ディジョネットという最強の布陣。 アイアートのパーカッションも鬼気迫っており、バンド全体にスパイスを振りまいている。 https://item.mercari.com/jp/m91844541600

マイルス・デイビス/ダーク・メイガス

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1974年3月30日、カーネギー・ホールのライブ録音。タイトルの「ダークメイガス」とはゾロアスター教の魔術師のことで、本アルバムは当初、日本でのみ発売だった。

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■パーソネル Miles Davis (tp, org) Dave Liebman (ss, ts, fl) Azar Lawrence (ts) Pete Cosey, Reggie Lucas (el-g) Michael Henderson (el-b) Al Foster (ds) Mtume (per) 🎦https://youtu.be/GMNLXkx2QU8 🎦https://fb.watch/9sklKKFrJ7/

『アガパン』の9ヶ月前。フロントのサックスがデイブ・リーブマンの時代。重量級ファンクネスをベースに、ヘヴィーでポリリズミックなリズム&ビートを創出。超弩級なリズム&ビートをバックに、マイルスの電気トランペットとリーブマンのサックスが乱舞する。 凄まじくハードでヘヴィーで、叩き付けるようなリズム&ビート。なぜ、ここまでにハードなのか。なぜ、ここまでにヘヴィーにしなければならぬのか。激しいテンションと激しい音圧が耳を襲う。マイルスが『Miles In The Sky』以降、エレクトリックの世界で追求してきたリズム&ビートの最終成果がここにある。 https://item.mercari.com/jp/m99012880702